2021年JFNカレンダー6月特集ページ
憂鬱な梅雨をお花を飾って楽しもう
デザイナーズアレンジ・アジサイのアレンジ
瑞々しい旬のアジサイをたっぷりと使って、ラベンダーカラーのデルフィニュームとベロニカで透明感のあるアレンジに仕上げました。 フレッシュな水色はこの季節に楽しんでもらいたい色の一つです。梅雨のしっとりとした空気感も楽しめるような、アレンジを大切な方への是非ギフトにいかがでしょうか。
デザイナー紹介
公門新治(SHINJI KUMON)
フラワーデザインスタジオ フローレ 代表
1975年生まれ。長崎県佐世保市出身。JFN九州・沖縄ブロック技術指導員 受賞歴 第21回JFN技術選手権大会都知事章受賞 2013 年ガーデニングワールドカップフラワーショージャパン 空間装飾部門最優秀作品賞受賞
東京の生花店で修業し、2010年地元佐世保の実家のフラワーデザインスタジオ フローレに入社。 花祭壇、ウェディングを担当。花が大好きで”FLOWERLOVE!!” をたくさんの人に伝えていきたいです!!
6月のコラム
あじさいが意外なことに使われていた?何に使われていたのか
あじさいが意外なことに使われていた?何に使われていたのか
A.「お尻ふきに使われていた!?」
人の暮らしに役立つ植物は色々あります。
例えば、
漢方薬としての植物。
衣服に使われる植物。
もちろん食物として使われる植物など。
しかし、このあじさいは、用を足した後のお尻ふきに使われていたのです。
あじさいの意外な使い方として、葉をおしりふきに使っていました。
アジサイ研究家で元日本アジサイ協会会長の故人・山本武臣氏によると、一部の地域ですが、トイレでおしりふきに使っていた、特に伊豆諸島で使われていたと言われています。
平安時代の辞書には、阿豆佐為または味狭藍と書かれていたのです。
また、別の辞書には「集真藍」であじさいと読んだり、あじさいの花のことを指して止毛久佐や草冠に便と書いてあじさいと読むもしくはあじさいの花のことを指すと書かれていました。
葉が大きく柔らかいのが良かったのか、もしくは、その辺りに沢山あったからなのか。
あじさいは伊豆諸島に多く自生していました。
便所の周りにあったからお尻ふきに使っていたのですかね?
そのほかにも伊豆半島、三浦半島、相模湾近辺の山間に多く自生しています。
その多くがいわゆるガクアジサイです。
平安貴族も愛したあじさい
みなさんがよくイメージするあじさいとは、いわゆる「てまりあじさい」と言われるものです。ガクアジサイの変種と言われ、すでに平安時代にはあったと言われています。
専門的な話は割愛しますが、あじさいには装飾花と両性花があります。
いまみなさんがあじさいといって思いつく、丸いポンポリの様なあじさいは、「ホンアジサイ」もしくは単に「あじさい」と呼ぶことが多い様ですが、ガクアジサイの変種がそうなったということが進化の過程で伝えられています。
平安時代には和歌に詠まれ、辞典にも登場する時点ですでに庭木として愛でられていたのです。
ちなみに、漢字で書く「紫陽花」は、中国の詩人・白居易がライラックにこの字を当てました。
ところが、平安時代の学者・源順がアジサイに「紫陽花」と当ててしまったため、日本ではこう書く様になったのです。
あじさいの歴史
あじさいは山の中に自生するヤマアジサイと、海際に自生するガクアジサイがあります。
私たちがあじさいとして真先にイメージするあじさいは元々ガクアジサイがテマリ咲に変化したのです。
ですが、一体いつの頃からテマリアジサイがあったのかはよくわかっていません。
平安時代にはすでに庭などに植えられ愛でられていた様です。
しばらくの間、あじさいは、日本で梅雨時期を彩る庭木として、寺院などに植えられ、梅雨時期の目を楽しませてくれる存在となりました。
江戸時代はあじさいの色が変わる性質が心の変化する様になぞらえて、武士の間では忠義に劣るとして不人気でした。
しかし、劇的な変革を迎えます。
おそらく長崎を通じて、中国からヨーロッパへ生体が持ち込まれたのです。
そのあじさいは、アルカリ性土壌の多いヨーロッパではピンク色に変化したのです。
いつの頃からか「東洋のバラ」などと言われ、大人気となったのです。
そして品種改良が環境に適応し強壮な品種となり、いつしか、日本の固有種とはまったく違うあじさいとなったのです。
そうだとしてもあじさいのルーツはやはり、日本。
先にご紹介したアジサイ研究の山本氏が、イギリスの研究者から品種を取り寄せるとやはり日本固有のアジサイが全て母種となっていたのです。
園芸品種としてのアジサイ
大正になりヨーロッパから逆輸入されたあじさいは、ぜんぜん普及しませんでした。
理由は、日本での気候になかなか馴染まなかったのです。しかし、西洋のあじさいは、近年徐々に日本にも普及し始めました。
そして山本氏の呼びかけにより、日本固有の品種も園芸的に普及するようになり、各地で生産されるようになり、いまではヤマアジサイとして一つのカテゴリとなりました。
切り花でも、海外のフローリストが西洋アジサイをブライダルシーンで多く使うことから、日本でも注目され、切り花として在来種とは別に普及するようになりました。
そして輸入に頼っていた切り花のアジサイも千葉の若手生産者のもとで、西洋アジサイの国産化に成功し、今や日本におけるアジサイの地位は確固たるものになったと言えるのです。
ジューンブライドにアジサイを。
草冠に便という漢字を当てがわれてしまったアジサイですが、
人生で一番の祝福される結婚式。
そこに一番アジサイが綺麗に咲く咲き誇るシーズンに挙げられる結婚式にぜひアジサイを添えてみませんか。
運が付いた門出になると思います。
6月のおすすめのフラワーギフト
6月20日は、父の日です。今年の父の日はお花を贈ってみませんか。